遊びという場からルールや距離感を学ぶ尊さを大人は知ろう!

コラム

遊びの中の大切さとは

遊んでないで勉強しなさい!
宿題やったの?遊んでないでしなさいよ~
という声は親の十八番かもしれませんが、ちょっと気を付けていきたいです。

というのも、昭和ではそれくらい言わないと外に出たっきり帰ってこないなんて子はたくさんいましたが
今は、外に遊びに行かない。
友達と遊ばないというお悩みを抱えている人も少なくないんです。

子どもたちは、遊びの中でこそ大切なことを学びます。

ケンカをしたり、順番を待ったり、時には泣いたり笑ったり。
そんな何気ない日常の中に、「人との距離感」や「自分の気持ちの伝え方」、
「譲り合い」や「ルールを守ること」の意味が、自然と育まれていくのです。

でも今、その“遊びの場”が少しずつ消えつつあります。
感染症や熱中症への懸念、ゲームのオンライン化、習い事や大人の多忙…。
さまざまな背景が重なり、子どもたちは「誰かと関わりながら育つ」経験を
失いかけているように感じるのです。

運動の機会損失だけでなく、「人と関わる力」の喪失も

現代の子どもたちは、身体を動かす運動の機会が減っていると言われています。
それにより運動能力の発達が退化してきているとも言われていますが、
カラダ的な損失だけでなく、実はもっと大きな損失もあります。

それは、「人と関わりながら育つ」経験の喪失です。

昔なら、放課後や休日に近所の公園に自然と集まり、
ケンカや仲直り、ルールのすり合わせ、我慢や主張、協力や役割分担など、
人間関係の土台となる「社会性」を、遊びの中でたくさん学んでいました。

ところが今はどうでしょう。

感染症の影響(※)で集まる機会が減り、温暖化による猛暑で外遊びは難しくなり、
(※今となっては感染症自体での理由というよりは、コロナによって、集まることなどが
なにか無駄なこと、余計なこと、カットしていいもの等になってしまい、
積極的にリアルで関わることがなくなっているのではないかと思います)
ゲームは進化し、家の中で完結する遊びが増えました。
誰かと実際に関わるよりも、画面越しのやりとりのほうが多くなっているのが現実です。

また、オンラインゲームやSNSなどの“つながり”は、「顔が見えない関係」が中心です。
そうなると、リアルな場での感情のやり取りや身体感覚を通じた関係構築が苦手な子が増えていきます。
「自分の気持ちをどう表現したらいいか」「相手の気持ちをどう読み取るのか」
そういった力が育ちにくくなっているのです。

これは単なる運動不足の問題ではありません。
心の発達や、社会性の土台づくりに関わる“根っこ育ち”の課題でもあります。

三間(時間・空間・仲間)の減少

10月のコラムにて、「三間(さんま)の減少」についてお話ししました。
これは、子どもが育つうえで不可欠な「時間」「空間」「仲間」が奪われつつあるという指摘でした。

時間・空間・仲間の三間です。
この「三間」が減ることで、子どもたちは「人とどう関わるか」
「すれ違ったときにどう折り合いをつけるか」
「違う意見とどう向き合うか」といった、人として生きる土台を育む機会をも失っているわけなのです。

そして実は、これは子どもだけでなく、親自身もまた同じです。
「相談できる仲間がいない」「子育ての現実を分かち合える空間がない」
「毎日が予定で埋まり、ゆっくり子どもに向き合う時間がない」
大人もまた、三間の減少に苦しんでいるのかもしれません。

“コミュニケーションが苦手な子”は、経験不足?

近年、学校や保育の現場からよく聞くのが、「人と関わるのが苦手な子」が増えているという声です。

  • 自分の気持ちを言葉にできない
  • 相手の反応が読めず一方的になってしまう
  • 友だちとの関係が浅く、すぐに離れてしまう
  • 何かあると「無理」「怖い」と避けてしまう

これらは決して「その子の性格だから」と片づけられるものではなく、
人と関わる経験そのものが不足していることからくる“育ちの偏り”なのではないかと
私は考えています。

人は、人との関わりの中でしか育てられない部分があります。
だからこそ、「ぶつかってもいい」「戸惑ってもいい」そんな場と時間が必要なのです。
それが子どもたちの遊びの場なのだと思います。

私たち大人にできること

こんな時代の中で、私たち大人には何ができるのでしょうか。
トビラコースではここを考えて実践していきたいと思います。

それはまず、「人と関わる遊びの場」を大切に思う視点を取り戻すこと。
そして意識的にでも、「遊びの場」つまり「三間に関わる全て」を子どもたちに届けていくことです。

  • 何もしない時間をつくり、予定を詰めすぎない。
  • 安全に遊べる場所を探したり、地域で協力し合って「空間」を確保する。
  • 年齢や立場を越えた関わりが生まれる「仲間」との時間を大事にする。

子どもが育つには、「正しいことを教えること」よりも
「一緒に考えてくれる人の存在」のほうがずっと大きな意味を持ちます。

私たち大人が、「遊びの中にある尊さ」を忘れず、
子どもたちが誰かと関わりながら“自分の輪郭”を見つけていけるような環境を、
少しずつでも整えていけたら、きっと未来にとっても、
とても大きな意味を持つ一歩になるのではないでしょうか。

まずは、家庭からです!わが子からです。

遊びの大切さを認識して、遊ぶ時間、遊びの場、仲間とのやり取り、そういったものを
しっかりと守っていきましょう。

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