10歳のトビラコース開設にあたり、脳関係の本をたくさんインプットする中で、改めて、人間は超高度な脳によって支配されていることに、大きく感銘をうけました。
私たちが小さな時から悩んできた些細なこと、子どもを育ててみて感じる違和感。
脳科学から、人間の本能に刻まれていることを知ると、だいたい説明がついてしまう。
人が何十億年もかけて進化してきている過程で刻まれてきたもの、本能は、進化が進んだ現代でも簡単には覆らないんだなと感じています。
だからこそ、AIのような人間ではなくて、「人が人らしく生きる」ために!
どのように環境を作っていくのか、脳科学の視点から、思春期の子どもたちを紐解いていきましょう。
脳を紐解くと、人間がわかる。
子育ても、この解明されている脳科学を使わない手はない!
思春期脳を理解するー
思春期脳は、自我が肥大化する
男女ともに、この思春期の時期に分泌量を最大にする生殖ホルモンのイタズラで、自分に対する関心が大きくなり、
自分に起こることすべてが世界の中心にあるように感じてしまう。
女の子の場合ー容姿や、愛されているかどうか?に表出する
男の子の場合ー無駄に強い正義感や執拗なまでに勝ち負けにこだわる
さてさて、みなさんも記憶にないですか?中学生女子の前髪命問題。
自分の顔を見ている時間が一番長いのは、思春期女子ではないかと私は思っています。
例に漏れず、うちの中2女子も、それさっきとどこが変わったの?と私から見ると変化のない前髪を、
ひたすら30分クシで梳かし続けている、毎朝。
学校から帰宅してからも、自分の好きな人がどうだった、友達があーだったと、ひたすら話し続けています。
まさに、自我の肥大化!と、親として、長女を見ていて納得する自分がいました。
男の子は、長女の話から聞くに留まる所ですが、「自分の中の正義、正しいと思っているもの」に葛藤しながら、
学校という社会の中での立ち位置を模索しているのかなと感じています。
「自分の中の正義」というのがひとつポイントで、それが他者にとっても正しいかどうかというのは、別の問題。
そこで揉めたり、ぶつかったりしながらも、社会の枠組みの中でうまくやる立ち位置だとか、これはやりすぎてしまったからもうやめておこうとか、そ
んなことを学んでいるような気がします。
ここまで読んでもらって気づくと思うのですが、この思春期、家族だけでなく、子どもたちの作る世界の友達が大切になってきます。
子どもたちの社会の仲間内で育まれる体験が非常に大切。
だから、学校という同年代の子どもたちとの関わり合いが非常に大切になってくるのでです。
ヒトの脳は、思春期にこども脳から大人脳へ、シフトチェンジ!
身体も、脳もパソコンで言えばOSが変わるくらいの大きな変化が、この時期の数年間で一気に起こります。
こども脳ーありのままの事象を受けとめる
大人脳ー比較することで「差分」を見つけ出すエンジン
大人の脳へシフトチェンジしていく中で、要領よく記憶をしまったり引き出したりすることができるようになっていきます。
この副作用は、即座に比較して、差分を明らかにしようとするところ。
そう考えると、男女問わず、他者の目線にものすごく敏感になる時期でもあります。
他者比較は良くないと思っている方も多いと思いますが、
他者比較の中で、親の評価が交わるのがいけないのであって、
他者と自分を比べるということは、成長過程の中で、悪いことではないと私は感じています。
比べることで自分のことがわかり、自分の居場所を見つけていく、アイデンティティを体現していくのです。
比較することで、自分と相手が合うのか合わないのか、精査していく。その中で自分は自分で、相手は相手であると思えるかどうか。
ここが、自己肯定感の土台が根付いているのかどうかを、親が初めて実感出来るところであるかもしれません。
自分たちにスポットライトが当たっている状態のときは、自分が思うような、目指した成果が手にできないと、自分の存在価値を見失うような気持ちになります。
その変化に、子どもたちも大きく揺らぐ時期であるということをしっかりと理解しておくと、心の準備ができるかもしれません。
このアイデンティティを確立していく時期に、自我が肥大化していくというのが、良くできている仕組みだな〜と感じました。
自己への関心がないと、アイデンティティを見つめ確かなものにしていけないですものね。
でも、現代の子ども達はこの「自己への関心、自分の快と不快が分からない子」が増えているもと言われています。
本来なら自我が肥大化するこのタイミングに、なぜ自己への関心が持てないのか。
これはkuccaが言い続けている「幼少期からの心と身体の土台作り」が脆弱なのではないかというのが、
私の中の持論としてひとつ思っています。
自分にスポットライトを当ててはいけない
今までの私たちの昔を振り返ってみても、
理想の自分や、なりたい自分を想い描こう!とか、将来の夢はなーに?など、それはそれは小さい頃からしつこく聞かれてきたのではと思います。新卒の企業研修などでも。
が、これは脳科学的には危ない!と、『思春期のトリセツ』の著者、黒川伊保子さんは述べています。
私は、この言葉に非常に大きな驚きを覚えました。
「理想の自分で脳の世界観を描いてしまうと、自分が失敗すれば世界観が崩壊してしまう」
だから、失敗を恐れ、好奇心を失っていく。
最終的な目標とすべきは、「理想の自分」じゃなく、「社会への貢献」であるべきだ。
黒川伊保子ー『思春期のトリセツ』より
「だから、スポットライトは自分に当ててはいけない。」
目から鱗と同時に、妙に納得する自分もいました。
「失敗を恐れるな!チャレンジしてみること!」とか、「失敗は成功の糧!」などと、自分に言い聞かせる必要はなくて、
理想を描かず、ただ目の前にあることに淡々と向かうのみで良いのだと。
理想を掲げる前に、私たちにはやるべきことがたくさんある。
「理想の自分」とか、「自分にしかできないこと」を探す旅に出たら、人生の迷子になってしまう。
脳の世界観が自分いっぱいになって、失敗を恐れるようになってしまう。
黒川伊保子ー『思春期のトリセツ』より
まずは現実をありのままに受け止めて(子ども脳が得意)、比較することで「差分」を見つけ出す(大人脳が得意)。
自分に今できることを、コツコツ淡々と。その先に、自分の未来と夢が煌めいていくーというのが正しいのかもしれない。
夢見る力を手に入れる方法は、「好きでたまらないこと」に出会うこと。心のスポットライトを自分以外のものに照射する
好きでたまらない!が人生を拓く鍵。
kuccaでは、幼少期からの子どもたちの興味関心好奇心はどこにあるかを見つめて、それをサポートしてあげることが親のやるべきことだと、
子育ち軸コースなどでも伝えてきました。
子どもたちが心の底から湧き上がる「楽しい」「好き」の気持ちを、日常のルーティンの中でなくさないであげて欲しいと思っています。
若者が探さなきゃいけないのは、「理想の自分」ではなく、「好きでたまらないこと」
日夜そのことを考えずにはいられない。そんな対象物を見つけてほしい。
何かを好きになって、日夜そのことを考えずにはいられなくて、何かせずにはいられなくなる体験を重ねれば良い。
好奇心の回路は、対象ごとに作られるわけじゃなくて、一つの回路を使い回す。
だから、たとえば大好きな音楽で作ったその回路を仕事にも転用できる。
体験を重ねれば重ねるほど、どんどん使いやすくなり、音楽に夢中になって青春時代を謳歌し、
やがて音楽とは、関係のない職業に就いたとしても、その仕事の中に、きっと好奇心の対象を見出せて、好奇心のサイクルを回せるのである。
与えられた仕事だとしても、「好奇心で回せるのである」
脳に「好きでたまらないを経験させよ」
その好きでたまらないは、対象物として、コミュニケーションを交わせる人間はNGである。
よく思われたい!や、あの人みたいになりたい!という憧れも、この人の役に立ちたいという尊敬の念も、自我を肥大化させてしまう。
周りの目が気になり、自分にスポットライトが当たってしまいかねない。
黒川伊保子ー『思春期のトリセツ』より
大人は、この「自分にスポットライトを当てながら未来を描いていく」という話は、大好物なのだと思う。
でも、脳科学的に言うとそうではなくて、
自分の好きでたまらないことをやり続けていくうちに、自分の未来が作られていくということ。
卵が先か、鶏が先かみたいな話だけど、うっかり見落としがちになる視点。
大切にして、好きなことを思いっきりできる環境を整えて欲しいなと思います。
14歳、「心の旅のはじまり」を見守ろう
14歳は「好きでたまらないもの」発見の適齢期の始まりと言われている。
でも幼少期から、「好きなことを好きと言ってやり続けることができる」ようになるのは、
この14歳、思春期といわれる時期より前の、「やりたい」を尊重してあげられたかが、ひとつ鍵となってくると思う。
その視点を持って、子どもたちと関わり合いができるのか、環境サポートをどうするのかは、親側も良き塩梅の鍛錬が必要です。
だから、小さな好きも尊重して欲しい。
この時期に、「脳は感性のありよう」を定めるらしく、この時期に造られた”感性”のまま、豊かな人生を歩んでいくことになる。
14歳の瑞々しい感性を一生持ち続ける。
そう考えると、人生においてもすごく大きな大きな物を、自分のOSアップデートしながら、身体もアップデートしながら、
人間を自分を形成していっているのだから、思春期って、凄まじい。
喋ってくれないとか、反抗的だとか、そんな私たち親への対応なんてどうでもいいくらい、この時期にしか育めない心の成長をしっかり遂げていくなんて、すごすぎませんか。
14歳以降で好きでたまらないものを見つけて、好奇心の回路を創り上げると、その回路は一生ものなのだ
- 14歳で出逢ったもの
- 14歳で出逢った風景
- 14歳で出逢ったことば
この出逢いは、偶発的に、脳の無意識の部分が強く外界と反応しあった時の「結果の現象」だから、親が戦略的に与えることはできない。
自ら見つけたものにしか、好奇心の回路を活性化できないから。
14歳、感性モデルを完成させて、こどもたちの心の旅が始まる。
黒川伊保子ー『思春期のトリセツ』より
ここに、子どもたちが出逢う、経験するすべてのものの尊さが詰まっていますね。
この “回路”がひとつ、いかに人間らしく人生を豊かに過ごせるかの鍵になるかなと思います。
思春期、めんどくさいな〜なんて思って過ごすのは勿体無い!
子どもたちの心の葛藤やモヤモヤも全部受け止めて、擦り流して、楽しき思春期ライフを、親も共に過ごしていきましょう~!


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