「10歳の壁」は終わりじゃなく始まりだった!
10代の脳は未完成かつ特殊であります。 だからこそ、その脳を持ちえない親にとって、思春期の脳を理解するのはとても難しいわけです。
その昔、「10歳になれば脳は完成するからそれまでに!」と言われていました。 「10歳の壁」は、決して「完成」の合図ではなく、「ここからが本番」という出発点です。
0歳から5歳(未就学児において)、kuccaでは、からだ脳(身体感覚)とおりこうさん脳(知識や理解力)というところにフォーカスして、脳の土台を築いてきました。
そしてその先に控える思春期には、判断力や共感力を司る「こころ脳」である前頭葉が本格的に成長していくのです。
しかし、6歳から10歳の時期は、すっぽりおざなりになっているんです。 実際はまさにここが脳育てのゴールデンエイジなのではないかと私は思います。 この時期に育まれた脳の質が、思春期の成長や自立の方向性に大きく関わってくるのです。
ゴールデンエイジ到来!6歳〜10歳の脳はどう育つ?
🧠6歳〜10歳の脳の特徴から考える
◎からだ脳(感覚):0歳から5歳にしっかり習慣化させていたからだ。 これが土台であり基本です。思春期に向けての扉期には、このカラダを元にしっかり動かすことで、脳全体への刺激が活性化されます。運動による刺激は神経回路のネットワークを広げ、前頭葉の発達を助けます。
◎おりこうさん脳(認知・記憶力):知識の吸収が急速に進むタイミングでもあります。 0~5歳の比ではないので、どんどんと学びの楽しさに触れることが重要になります。量より質です。自分で考え、理解する力が育ち始めるこの時期には、問いに向き合い、答えを導き出す学びの姿勢が何より重要です。
◎こころ脳(前頭葉):この時期から土台が作られ始め、思春期で本格的に伸びていく。だからこそ、経験を積む場面と支援が鍵です。感情のコントロール、自己理解、他者との共感、計画性といったスキルはこの時期から徐々に芽を出し始めます。ここでの体験や関わりが、思春期に爆発的な成長として花開くのです。
6歳〜10歳はまさに脳に関しても思春期に向けての「準備」の時期となります。 この段階を丁寧に過ごすことで、思春期の子どもたちは自分の感情を扱う術や、物事を深くじっくりと考える力を獲得していきます。
と言っても、0~5歳の時期も大変だったように、6歳〜10歳も目まぐるしく状況は変化していきます。 優しいものではない出来事も出てくると思いますが、 まずは脳の学びも自身に肚落ちさせて、今何をすべきかを考える力にしてもらいたいなと思います。
脳の成長をシーズンでカテゴライズすると
- SEASON 1 0~5歳 からだ脳とおりこうさん脳の時代
- SEASON 2 6歳から10歳 からだ脳とおりこうさん脳を前提に、前頭葉の土台作り
- SEASON 3 10代思春期 前頭葉を育て、身体とこころのバランスを取っていく時代
まずは、私たちは今SEASON 2にいるという事を認識しましょう。
そして、その位置にいる私たちは何をすべきか、それを理解した上で日常を過ごす。 これはやるべきことです。
思春期の「なんでそうなるの!?」には理由がある
では、どこがどのように脳が未完成なのかを、もう少し詳しく理解していきましょう。
- 判断と知性をともなう前頭葉が未完成
- 感情を担う偏桃体が先に活性化
15歳と18歳の我が子を見て思うことがまんま答えに繋がっている。 でしょうね、、、とも言いたくなる。
なんでそうなるの? 考えたらわかるでしょ? どうしてそうなのだ? 思春期の子を持つ母として、こんな言葉が出てこなかった日はありませんw
でも、それも、前頭葉の未完成さと偏桃体との連携不十分を考えると あれもこれもの出来事が、納得いくことでもあります。
1.の前頭葉は、性教育講座のテキスト内でも掲出していた、こころ脳の部分であります。 そこにも記載があったように、こころ脳はからだ脳とおりこうさん脳を土台に以後形成していくものであるからして、その後6~9歳にて土台が作られる、いわばこの10歳の扉コースがゴールデンエイジなのです。
また、この判断力や知性を形成していくには、前頭葉への刺激や成長だけでなく、 それに合わせた経験と学びが必要になってくるわけです。
からだ脳やおりこうさん脳は、正しい刺激と見守りといういとまを与えれば のびのび育っていくのに対して、こころ脳のメインである前頭葉はそうはいかない。
我が子たちをみていても思うのが、その判断を学ぶ【経験】と知性を伴うようにするための【学習】はとても大切であることです。
性教育講座でも伝えましたが、あの時は要らない要らないと言っていた学問的要素が ここにおいてやっと登場します。 人生においていらないわけじゃない、つまり順序だよというところが、 いよいよここになって出てくるわけです。
小学校5年生から中学、高校と、やはり判断を学ぶ【経験】と知性を伴えるための【学習】は とても大事になります。 しかし、早くからこれをしていれば良いというわけじゃなく、これも先に伝えたように、 からだ脳やおりこうさん脳の土台がある故に伴ってくる部分であります。 いわば、こころ脳が血肉だとしたら、からだ脳、おりこうさん脳は骨や神経なのです。
排泄育児をきっかけに、からだ脳やおりこうさん脳にアプローチをかけてきた0歳から6歳。 10歳くらいから学校の学習も本気度を帯びてくるので、6歳から10歳のこの「10歳の扉時代」を準備期間として捉えていきましょう。
今、親ができることは?
では、この扉時代であるSEASON2にいる私たちがやっていくべきことはなにか?
ズバリ!前頭葉を視野に入れて育てること。
🧠 前頭葉を育てる方法
▶十分な睡眠とバランスの取れた食事
睡眠不足や偏った食事は前頭葉の働きを鈍らせるので、健康的な生活が大切です。
▶運動を定期的にしっかり行う
特に今必要な運動量は学校などではカバーしきれないほどです。 お稽古事でもいいので、しっかり身体を動かして、前頭葉の血流を増やし、認知機能を高めます。
===ここまでは今までのからだ脳、おりこうさん脳に通じます。
《脳》を活性化する観点でぜひ継続していきたい骨子の部分です。
新たに、ここを!!
▶読書や勉強を習慣にする
論理的思考や想像力を刺激する読書は、前頭葉の活性化に非常に効果的です。
▶新しいことにチャレンジする
楽器の練習や新しい言語の学習など、未経験のことに挑戦すると前頭葉が刺激されます。
▶リアルに人と会話する
リアルにコミュニケーションすることが年々機会として減っているのは周知の事実。いかにその機会を増やすかは親の心がけ次第かと。人とのリアルなコミュニケーションは、思考や共感力を使うため、前頭葉が活発に働きます。
「未完成」は未来へのギフト
未完成の脳は欠点ではなく、可能性の塊であるということ。
思春期では、物事を判断し処理する前頭葉よりも 感情をつかさどる偏桃体が先に動き出すため、本人も親も戸惑うことが増えます。 いや、むしろ親よりも本人の方が戸惑っているんです。
でも、そのアンバランスさこそが「経験と学び」で前頭葉を育てていく絶好のチャンスでもあります。
この大切な時期に必要なのは、「体験」と「対話」と「学び」がバランスよく交差する環境です。読書、挑戦、リアルな人との関わりを通じて、脳は自分らしい形に育ちます。
今、10歳の扉をくぐった子どもたちへ。 10歳の扉期を“脳の進化期”と捉え、一緒にこころの力を育てていきましょう。


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