「できる=大人」じゃない!?子どもの脳の本当の成長とは
今回は、
思春期の脳は、大人が思っている以上に敏感でストレスをためやすい。
そんな話をしていきたいと思います。
4歳より5歳、5歳より6歳と、子どもは年齢とともにできることが増えていきます。
それを見ると、つい「成長=大人に近づいている」と思ってしまうかもしれません。
かくいう私もその一人で、できることが増えた=大人に近づいている、
と思い込んでいた節がありました。
もちろん、一概にそれを否定するつもりはありません。
でも、脳の発達という視点で見たとき、「できる=大人」ではないということは、ぜひ心に留めてほしいなと思います。
前思春期の子どもに必要な「できて当たり前」からの脱却
特に注意が必要なのが、6歳から10歳くらいまでの、前思春期から思春期の入り口にあたる時期です。
この時期、子どもたちの脳は急速に変化し、とても敏感になっていきます。
できることが増えてくると、つい大人側は「できるのが当たり前」と感じてしまい、できなかったときの反動、つまりイライラや、ひどいときには罵声に近い叱責が出てしまうこともあります。
「なんでできないの!」
「どうしてやらないの!」
こんな風に、つい口にしてしまった経験、私自身もギクリとするほどあります。きっと誰しも、一度は経験しているのではないでしょうか。
でも、ここで知っておいてほしいことがあります。
感情の嵐をコントロールできない脳の構造
この時期の子どもたちの脳は、扁桃体(感情の起伏を司る部分)が先に発達し、前頭前野(感情を抑制する部分)はまだまだ未発達の状態なのです。
つまり、感情の嵐を自分でコントロールする力が、まだ整っていないのです。
「感情をコントロールすること」と、「やらねばならないことをやること」がなぜ直結するか?と、不思議に思う人もいるかもしれませんが、平静な状態でいられないことには、なにかに集中し、向き合うのは困難になります。
ルーチン化している宿題や、やらねばならないことも、モヤモヤしていたり、なにか気持ちが落ち着かない時は難しく、その裏では葛藤が出てきます。
皆さんもそのような状態だと、やらねばならないことから目を逸らしたくなりませんか?
もちろん逸らしたくても逸らせない、それが親としての、大人としての仕事なので、こちとら!それすらも許されないんだわ!って思ってしまいますよね。
もちろん私も思います~w
大人よりも強いストレス反応、脳が記憶する「刺激」
ですが、大人と明らかに違うところがあるのです。
それは、思春期前後の脳は、大人よりもストレス反応が強いということ。これは研究でわかっていることです。
たとえば、ストレスホルモンであるコルチゾールに対する反応が、幼児期や成人期よりも大きく、そのとき感じた「怖かった」「つらかった」という記憶が、強く脳に刻まれやすいのです。
この特性があるため、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマ体験の多くが、実はこの思春期の時期に形成されることが多いという報告もあります。
つまり、大人が思っている以上に、子どもの脳は「刺激」を受けやすく、
「記憶」として深く残りやすいのです。
ちなみに、罵声や怒号といった【刺激】はPTSDやストレスへの影響がイメージされると思いますが、
例えばショッキングなニュース映像や、過去の事件や事故の情報データなどでも、想像以上に子どもの心に強く残ることがわかっています。
真実を知ることももちろん大切ですが、私は「真実だけが正しい」というわけではないと思っています。
子どもに伝えるときには、グレーな要素、つまり柔軟な対応も必要ではないかと感じます。
特に令和を生きる子どもたちは、アダルトサイトや犯罪情報だけでなく、SNSなどからも多くの刺激に晒される時代。
こういった点にも、大人として目を向け、サポートしていくことが大切だと思います。
「怒らない子育て」ではなく「脳を理解する子育て」へ
私自身、この脳のしくみを知った後も、怒りをまったく感じないわけではありません。むしろ、感情をコントロールするのは本当に難しいと日々実感しています。
でも、「一呼吸置くこと」「冷静に話すこと」を、強く意識するようになりました。
例えば、子どもが宿題を忘れていてやらないとき。
こんなのは日常茶飯事、長男次男三男とみなそれぞれにありました。
(現在も進行中)
好きなことしかしてなくて、やらねばならぬことをやっていない時。
腹立ちますよね。
私も以前なら「なんなの?なんでやらないの!」と怒鳴っていたかもしれません。
でも今は、まず深呼吸して、「今日、疲れてた?」等と聞くようにしています。
すると、子どもも「うん、なんかダルい」と本音をポツリ。
怒鳴っていたら、きっとこの一言は引き出せなかったと思います。
もちろん本音を言ったからと言って、宿題が進むわけもないですw
でも、明らかにその次の動きは怒鳴ってやらせるよりとてもいい方向に向かいます。
親も未完成。だからこそ、支え合う姿勢を
そして、これは母親だけが意識すればいい話ではありません。
私はこの内容を夫にもしっかりと丁寧に共有しました。
「怒りを感じるのは仕方ない。でも、上記のような脳の仕組みがある。それを怒号や罵声という形でぶつけても、結局いい結果にはならない。だから、どうしてもムカついたら、お互いに“ムカついた!”とだけ吐き出しあおう。怒鳴ったり責めたりするのは極力控えよう。もちろんお互い様ねw←これがミソ」
そんなふうに夫婦で話し合い、今も意識して続けています。
この話を共有した後、中2の頃の次男相手に、夫がキレそうになる事件があったそうです。
でも、この話を思い出し、静かにスタバに逃げたそう。
(この時私は家にいず、LINEにて夫から連絡が来ましたが、GOOD JOB!と励ましましたw)
思春期前後の子どもたちの脳は、日々とても大きな成長を遂げています。
そして同時に、傷つきやすく、記憶に深く残る時期でもあります。
かといって、「はい、そうですか」とも言えないのは、親も未完成の人間ゆえ。
しかし、できることが増えても、こどもの心と脳はまだまだ「未完成」であるということも事実。
それを私たち大人が知り、関わり方を工夫していくことが、
未来の子どもたちを守る大きな力になると思っています。
大人だって、未完成でいいんですよ。
未完成なら未完成なりに、お互いに工夫し合う。理解し合う。
これが寄り添いだとも思います。
また10代の脳はトラウマに陥りやすいが、反面、回復力も高いという調査結果もあります。
今までやっちまってたな~と思う方も、今からでも怒りの感情を抑えて、大人が思っている以上に敏感でストレスをためやすいことを理解し、対応することで、回復は望めます。
そして、まだ10代前の皆さんは、今からです!!
あきらめず、コツコツやっていきましょう♪
(参照:ペンシルバニア大学教授フランシス・ジェンセン著『10代の脳』)


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